2026年6月22日、在大阪ベトナム総領事館のグエン・チュオン・ソン総領事は奈良県を訪問し、山下真奈良県知事、田中惟允奈良県議会議長、藤野良次副議長、山本のぶあき奈良県日越友好議員連盟会長を表敬訪問するとともに、奈良県商工会議所との意見交換及び奈良県ベトナム人会との面会を行った。
奈良県首脳との会談において、グエン・チュオン・ソン総領事は、奈良県とベトナム各地方との協力関係が近年着実に発展していること、とりわけフエ市及びフートー省との交流・協力が順調に進展していることを高く評価した。
また、総領事は、奈良県が県公式ウェブサイトへのベトナム語情報の掲載や、ベトナム人職員の行政機関への採用など、様々な実践的な取組を通じて在住ベトナム人コミュニティを支援していることに謝意を表明した。その上で、行政サービスへのアクセス、法制度に関する理解の促進及び地域社会への円滑な定着などの面において、今後も引き続きベトナム人住民への支援をお願いした。
これに対し、山下知事は、少子高齢化及び深刻化する人手不足が進む中、ベトナム人材は奈良県の経済・社会の発展において極めて重要な役割を果たしていると述べた。また、現在ベトナム人コミュニティは県内最大の外国人コミュニティとなっており、その存在は地域社会にとって非常に重要であるとの認識を示した。
田中県議会議長も、ベトナム人は勤勉で活力があり、向上心に富んでいると高く評価するとともに、近年奈良県内ではベトナム人が経営する店舗や事業所が増加しており、地域住民にとってベトナムがより身近な存在となることに寄与していると述べた。
山下知事は、これまで締結された協力合意を基盤として、フエ市との協力を引き続き推進していきたいとの考えを示し、特に文化、青少年交流、教育・人材育成及び人的交流の分野で一層連携を深めたいと述べた。また、奈良県で実施しているホーチミン市工科大学の学生向けインターンシップ・プログラムが良好な成果を上げていることを紹介するとともに、2027年からはフエ大学の学生についても同プログラムへの受入れを検討していることを明らかにした。
さらに山下知事は、2026年9月にフエ市で開催予定の第2回日越地方フォーラムに参加する予定であることを表明した。
これに対し、グエン・チュオン・ソン総領事は奈良県の計画を歓迎するとともに、在大阪ベトナム総領事館として訪問団の準備に向け奈良県と緊密に連携していく考えを示した。また、本訪問が両国の地方自治体、企業及び教育機関の間に新たな協力の機会を切り開く契機となることへの期待を表明した。
奈良県議会及び奈良県日越友好議員連盟との面会では、総領事は同連盟に対し、今後もベトナムへの視察・訪問を継続的に実施し、相互理解を一層深めるとともに、両国地方間協力及び奈良県内ベトナム人コミュニティへの支援を促進するための具体的な取組を積極的に提案していくよう期待を述べた。
山下真奈良県知事とグエン・チュオン・ソン総領事
奈良県議会議長、副議長、及び奈良県日越友好議員連盟会長に
記念品を贈呈するグエン・チュオン・ソン総領事
奈良県商工会議所との意見交換では、同会議所より、現在約1万社の会員企業を擁し、その多くがサービス業、観光業、小売業、宿泊業及び飲食業の分野で事業を展開しているとの説明があった。また、県内における人材需要が今後さらに高まることを踏まえ、労働分野及び経済交流においてベトナムとの協力を一層強化していきたいとの意向が示された。
これに対し、総領事は、奈良県企業とベトナム企業との間には大きな協力の可能性があると評価するとともに、近年、奈良県を訪れるベトナム人観光客が大幅に増加していることに言及し、これが双方の経済・観光交流のさらなる発展につながることへの期待を表明した。
また、総領事は、奈良県商工会議所に対し、在大阪ベトナム総領事館が主催又は後援する投資・貿易促進に関する会議、フォーラム及び各種イベントについて、県内企業への積極的な周知に引き続き協力するよう要請するとともに、地元企業がベトナムの投資・ビジネス環境への理解を深める機会を一層提供していきたいとの考えを示した。
さらに総領事は、奈良県に対し、観光産業及び地域消費向けにベトナムの優れた産品の輸入を拡大するとともに、県内ベトナム人コミュニティの需要の高まりを踏まえ、ベトナム産品の供給拡大についても積極的に検討するよう期待を表明した。
奈良県商工会議所との意見交換に臨むグエン・チュオン・ソン
総領事一行
奈良県ベトナム人協会との面会では、総領事は、設立間もない中にあっても、理事会がコミュニティの結束とネットワークづくりに積極的に取り組んできた努力を高く評価した。また、同会に対し、引き続き在留ベトナム人コミュニティと総領事館との架け橋としての役割を発揮するとともに、旧正月(テト)や中秋節などの伝統行事、スポーツ大会、文化交流イベント等を積極的に開催し、コミュニティ内の団結を一層深めることを期待すると述べた。さらに、こうした活動を通じて地域住民がベトナムの国や文化、人々への理解を深め、日越友好関係のさらなる発展に寄与することへの期待を表明した。
グエン・チュオン・ソン総領事は、奈良県および日本を代表する寺院であり、世界遺産の一つである東大寺を訪問した。同寺では、東大寺の創建の歴史や、日本仏教の発展において果たしてきた文化的・宗教的な役割について説明を受けた。
また、東大寺は、現在のベトナム中部にあたる林邑出身の高僧・仏哲が、752年の東大寺大仏開眼会に参列したゆかりの地でもある。日本の史料によれば、仏哲は林邑の仏教音楽の伝来や日越両国の仏教交流に重要な役割を果たし、日本雅楽の成立にも大きな足跡を残したとされている。
東大寺における総領事、在大阪ベトナム総領事館職員、ベトナム人コミュニティ代表および当日案内を担当した東大寺僧侶